未来を想像/創造させるアニメーション〜『ソードアート・オンライン オーディナル・スケール』
VR・AR関係者必見という噂を聴いて『劇場版ソードアート・オンライン オーディナル・スケール』を観てきた(なお僕はVR・AR関係者ではない)。
ちなみに僕はこれまで『ソードアート・オンライン』は原作未読、TVシリーズ未視聴であり、SAOの世界にまったく触れてきておらず、MMOのオレTUEEE系の走り、という印象しかなかった(あとTwitterで女体化したキリトがTLに流れてきたのを見たことがあるくらい)。
というわけで、ほぼ知識ゼロで観たわけだが、エンタメとして単純におもしろく気持ちのよい映画体験をさせてくれるアニメーションだった。
いつもの秋葉原の風景がぶわっとファンタジーになるところとか、AIアイドルのLIVEシーンとか、ラスボス戦のバトルアクションなどなど、最高に気持ちよかった(梶浦由記大好き)。
ポケモンGOという現実世界における特異点のおかげで、オーディナル・スケールのようなARが実現したらめちゃくちゃたくさんの問題が起こるだろうなあ、というのは容易に想像されるが、それでもなかなか少年ハートが踊るワクワクする世界である。
ARはリア充のものなので、キリトくんは「オレは別に…」って感じだったが、個人的には全感覚没入型VRのナーヴギアより現実を拡張するオーグマーの実用化を期待している。
SAOで使われている技術が現実世界ではどのような状況か、という話は以下の落合陽一さんと伊藤監督らとの対談記事を参照。
『電脳コイル』という偉大な先達があったり、また古典SFでも拡張現実は描かれているので、SAOがとびきり新しいフィクションかと言えばそういうわけでもないが、これだけ若年層に人気のアニメーションが、これだけわかりやすく「ARのあ(りう)る未来」を視覚化して提示してくれたことの意味は大きい。
こうした未来を想像させてくれる物語が、新しい未来を創造する糧になるのだろう。
さて、以下ネタバレ注意。
オーケイ?
芝村裕吏『この空のまもり』あるいは『セルフ・クラフト・ワールド』を読んでいたのと、似たようなモチーフで小説を書こうとした(そして挫折した)ことがあったので、「アスナの記憶が抜き出される」→「教授の娘が死んでる」のコンボで彼が何をしようとしているのかはすぐにわかった。
そして、劇中のような乱暴な手段を取らなければ全然アリだし、いけたんじゃね?という気がしている。
今回の劇場版の不満点を一つ挙げるとすればライバルキャラクターのエイジや黒幕の教授、第100階層のボスがやや雑魚っぽいところだったので、「死んだ人間のデータをかき集めてAIとして復活」という手法を今後も活かしていただき、茅場晶彦氏に強大なラスボスとしてキリトくんの前に立ちふさがってほしい(茅場さん死んでる、という理解だけどあってる?)。
いやはや、しかし楽しい2時間だった。
ユナちゃんのライブ映像を観ながら余韻に浸る。
劇場版SAO公開記念「AR LIVE Technotopia SAO × “Wizard” Yoichi Ochiai」イベント映像