静岡茶市場を見学してきました
茶市場の取引が見学できるツアーがあると聞いて
本日は(株)そふと研究室さんが企画する静岡茶市場の見学ツアーに参加させていただきました。
今回のツアーは静岡新聞の記事を拝見してはじめて知ったのですが、同社ではこの他にもさまざまなお茶ツーリズムを展開されているようです。ご関心のある方はぜひリンク先をご覧ください。
さて、本日のスケジュールは以下の通りでした。
6:00 静岡茶市場(茶市場見学・体験)
8:00 茶市場周辺飲食店にて朝食
概ね時間通りに参加者が集まり、茶市場に移動します。
参加者の方数名とお話したところ、市内のすぐ近所からという方から、県外から親子で来られたという方までさまざまな方が参加されているようでした(男性はなぜか僕だけでしたが)。
こちらが静岡茶市場です。みんなで移動中。
茶市場内に入ります。
ご案内は豪華なことに茶市場の前社長(現相談役)である増井さんがしてくださいました。
そもそも茶市場って何するところ?
茶市場とは、売手(生産者、JAなど)から委託を受けて荒茶を買手に販売する場所です。
茶の基本的な製造工程は、摘採(茶摘み)→荒茶製造→仕上茶製造という流れになっていますが、茶市場はこのうち生産者が製造した荒茶を茶商が買い取る場となります。
静岡茶市場の取引方法は相対売買が主であり、茶市場の職員が仲介役となりながら、茶商が直接生産者と価格交渉することになります。
鹿児島茶市場は電子入札が主であり、地域によって取引方法も異なるとのこと。
取引の様子。なお、帽子の色はそれぞれ黄:茶市場、緑:売手(茶農家、JAなど)、青:買手(茶商)を表しています。
価格、条件などが決まり、取引が確定すると三者による「手打」が行われ、シャンシャンシャンという小気味よい音が響きます。
お茶の拝見を体験してみる
茶商は自社で仕上茶をつくるのに適した荒茶を数多くの荒茶見本から探します(実際は毎年ゼロベースで探すのではなく、ある程度「ここの茶商はここの茶園」といった取引関係が決まっているそうですが)。
このときの茶の選好を「拝見」と呼びますが、僕たちも実際のこの拝見を体験させていただきました。
見本茶の外観を見て、手でさわり、鼻を近づけて香りを確かめます。
また、茶碗に見本茶を入れ、熱湯を注いで実際に味見し、品質を確認します。
茶商の方なら、色、形、香り、手触りだけでお茶の品質は9割方わかるとのことです。が、増井さん曰く、その域まで達するには概ね5年くらい茶を見続けなければならないそう。
さらに、茶市場の職員として一人前になるには大体10年くらいかかるそうです。
うーん、職員というより完全に職人さんの世界ですね。異動したばかりのJAの職員の方などはなかなか苦労されているとか。
茶市場のいまとこれから
増井さんによれば、茶市場での荒茶取引価格は年々下落しているということでした。
少量しか流通しない手摘み茶や手揉み茶なども大分値下がりしており、農家としてはほとんど採算が取れなくなっているとのこと。
また、生産者の高齢化、後継者不足の課題は大きく、今茶市場に参加している茶園のよいお茶もあと数年で市場から消えてしまうかもしれない、という危機感があるようです。
そして、これらの課題を解決するために必要なことは、なによりもお茶をしっかりと消費者の方に買っていただくことが肝要だということです。
茶市場の取引を見るのは初めてでしたが、とても勉強になりました。
微力ではありますが、こうした活気ある茶市場を残していくためにも、お茶文化を積極的に国内外に発信していきたいと、改めて感じました。
P.S.ツアーの〆は茶業関係者御用達のお店にて美味しい朝食をいただきました。