後世への最大遺物

静岡県掛川市を拠点とするベンチャー企業 株式会社あらまほし代表のブログです

ムーヴメントを生み出すために〜『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』

ムーヴメントとは

高野修平『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング 戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法 』では、世の中の「盛り上がり」をファッド、ブーム、トレンド、ムーヴメントの4つに区分している。

ファッドは数日の一気呵成な盛り上がり(Twitterなどで見られるバズる、炎上するはこれ)、ブームは数ヶ月程度続きかつ参加者の熱量と主体性があるもの、トレンドは1年程度続き、参加者の主体性はないけれど世の中に拡がりを見せるもの、などといった定義をしている。

その上で、ムーヴメントは、一過性のものではなく、1年以上続き、かつ人々の価値観やライフスタイルを変化させるものだ、としている。

そして、本書は、音楽を通じて世の中を動かすムーヴメントを生み出す方法を述べた一冊である。

 

「世の中ゴト」化する

ムーヴメントを起こしていくためには、音楽が「自分ゴト」なのでは当然難しく、さらに身内や趣味人だけで盛り上がる「仲間ゴト」だけでも難しい。

「これは自分にも関係がある話だ」「この曲は自分のことを歌っているのだ」と多くの人が共鳴する「世の中ゴト」化していく必要がある。

 

本書で例に挙げられているのはブリットポップだ。

これはアメリカ音楽が人々に拡がり、流行していった反動・カウンターとして「イギリスらしさ」を人々が渇望する中で、これに応えるものとしてブリットポップが生まれた。

そしてブラー VS オアシスの対立がイギリスの音楽シーンの中で注目の的となり、ブリットポップムーヴメントは頂点に達する。

 


Blur - Country House


Oasis - Roll With It

そして、こうした「イギリス的なもの」の復権は映画、文芸、ファッションにも波及したと言う。

 

ビジネスでムーヴメントを起こす?

本書は「音楽の力でムーヴメントを起こす」内容であるが、ここまでの話はビジネスにも援用できる。

 

  1. 「熱量」のあるファンをつくること
  2. ビジネスを「世の中ゴト化」すること

 

これらは「ビジネスの力でムーヴメントを起こしたい」という時もほぼ同じ考え方ができる。

 

例えば当社の運営する日本語オンラインレッスンサービス"Aniguage"を例にすれば、

  1. 月数回利用し、周囲の友人にもレコメンドしてくれる熱心なユーザをつくる
  2. 日本語がオンラインで学べることによって、日本語及び日本文化の海外普及に貢献できる(ことを人々に認識してもらう)

といったことを目指した施策を打っていく必要がある。 

 

本書では、『進撃の巨人』『あまちゃん』といった音楽以外のエンタメ、One Direction、David Bowieなど、さまざまな具体的事例を挙げて、ムーヴメントがどのように生まれていったかを説明している。が、正直なところビッグアーティストによるビッグな仕掛けすぎて、参考にならない…というのが率直な印象だ。

一方「きゃりーぱみゅぱみゅだったから可能だった、という言い訳は封印しよう」と書かれていて、それはまさにその通りだし、ないものねだりをしても仕方がない。

予算は少なく、現時点では知名度もほぼゼロといった状況から、世の中を動かす、ムーヴメントを生み出すというのは簡単な話ではない。

 

けれど、今はまだ世に知られぬアーティストが、それでも日々ライヴを続けるように、地道な取り組みがなければ、ブームになることもムーヴメントを起こすようになることもありえない。

ムーヴメントを生み出していくために、今できることを積み重ねていこう。